大判例

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大阪地方裁判所 昭和24年(ワ)184号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實)

原告が被告から振出しを受けた約束手形の手形金五十万円及び之に対する訴状送達の翌日以降支払済に至る迄商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払を被告に対して訴求したところ、被告は手形振出の事実を認めつつ次のように抗弁する、即ち、被告はもと全国農業会(全農と略称)大阪府連合会事業部長の職にあつたものであるが、在職中原告と右事業部との間に、「(一)右事業部は原告から売藥の供給を受け、之を実需者に配置し、その約三ケ月後にその代金を集金した上原告に対してもその代金を支払うこと、(二)その契約を保証するために右事業部は原告に対し金額五十万円の手形を振出し差入れること。」という契約が成立した。よつて被告は右事業部を代表し原告を受取人として金額五十万円の為替手形を振出して交付したが、その後原告からの送品配置が遅れて同年九月上旬となつたので、右事業部からの現品到着も遅延し、従つて又その代金回收にも遅延を来した結果さきに原告に交付した為替手形も満期にその支払をすることができず、その交付の趣旨に則り書換えることとなつたが、当時全農大阪府連合会の内部に改組の問題が起り、右事業部振出名義の手形を振出すことのできない事情があつたので、原告の諒解を得て被告個人名義で本件手形を振出したのである。従つて右手形金の支払義務は右原告との合意によつて本来右事業部にあり、被告個人には存在しないものである。以下の争点はこれを省略する。

(判斷)

原告敗訴。判決は本件の場合、被告を当事者として手形金の支払を求めることはできないと断じ、その余の争点に関する判断を省略しているがその理由とするところは次の通りである。

被告はもと全農大阪府連合会事業部長の職にあつた者であるが、「その当時なる昭和二十三年五月頃原告から右事業部に対し売藥取引の申込があり、その結果右両者の間に『右事業部は原告から売藥の送附を受けてこれを実需者に配置し、次でその代金を取立てた上之を原告に対し支払う』旨の契約成立し、その際右事業部から原告を受取人として金額五十万円満期同年八月三十一日の為替手形が振出交付せられたこと、然るにその直後北陸地方を襲つた大地震などの理由により原告からの送品の到着が遅延し為に右事業部から実需者に対する配置も遅れ従つて又その代金の回收も予定のとおりに行われなかつた関係から右事業部においては前記為替手形金の支払をすることができず、原告と合意の上数回書換えられたが同年十二月頃になつて全農大阪府連合会内部に改組の問題が起り、事業部の印も従来のものを廃棄するに至つたので、従来同事業部の代表者として前記各手形を振出してきた被告は従来どおり同事業部代表者名義の手形を振出すことができず、そこで原告の諒解を得て被告個人の振出と認められる本件手形を振出したものであることが認められ、又、………全農は農民であつてその加入を承認せられた者を会員として各部落各村を単位として、支部を結成しそれらが各府県単位に連合会を結成し更にその各府県単位の連合会を構成員として結成せられており、何れも法人格無く会長が全農を、又連合会長が連合会を代表し、それらの財産について構成員は会費を支払うけれども持分を有しないこと及全農大阪府連合会においては事業部なるものを設け、独立の会計を有して経済活動をしていることがそれぞれ認められ、この事実に依ると全農大阪府連合会は単なる民法上の組合でなくて民事訴訟法第四十六条にいわゆる法人ニ非サル社団ニシテ代表者ノ定アルモノに該当し、又同連合会事業部なるものは同連合会がその目的に附随して行う経済活動のための一機関であつて偶々内部関係においてその会計を別異にしているに過ぎないものと解するのを妥当とすべく、以上認定に係る各事実を総合して考察すると本件手形金は原告との特約により全農大阪府連合会において之を負うべきものであり同連合会と関係なく個人たる被告において之を負うべきものではないといわなければならない。

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